誠-巡る時、幕末の鐘-



「すまなかった。お前達に私に言える名などなかったのだな。考えが足りなかった」




奏は首を左右にゆっくり振り、左手を額にあてた。




「奏?」




あり得ない言葉を言った奏に、みんな唖然(アゼン)とした。


奏は今まで土方にどんなに怒鳴られようと謝罪をしなかった。


なのに怒り狂っているはずのこの男には謝罪を口にしたのだ。




「やっと分かっ「お前は今日から名無しのごんべえその一だ」


「は?」


「どうだ?爺。俺の名付けは」


「俺ではなく私。…素晴らしいですね。さすが奏様です」




……前言撤回。


やはり怒っていたらしい。



< 266 / 972 >

この作品をシェア

pagetop