誠-巡る時、幕末の鐘-
「すまなかった。お前達に私に言える名などなかったのだな。考えが足りなかった」
奏は首を左右にゆっくり振り、左手を額にあてた。
「奏?」
あり得ない言葉を言った奏に、みんな唖然(アゼン)とした。
奏は今まで土方にどんなに怒鳴られようと謝罪をしなかった。
なのに怒り狂っているはずのこの男には謝罪を口にしたのだ。
「やっと分かっ「お前は今日から名無しのごんべえその一だ」
「は?」
「どうだ?爺。俺の名付けは」
「俺ではなく私。…素晴らしいですね。さすが奏様です」
……前言撤回。
やはり怒っていたらしい。