誠-巡る時、幕末の鐘-



「その三、四。我が主、そして両親に対する侮辱」




またさらに温度が下がった。


もし、温度計があったなら確実に十度以上下がっているだろう。




「な、何が言いたい」


「俺の「私」




また出てしまった奏の癖に、爺は少し呆れながら訂正した。




「私の嫌いなものの順位に天と地程の差がある一位があってな。その一位が…我が主、両親、友に対する侮辱」




現在の屯所外の気温推定十六度。


屯所内の気温…推定二度。



『…終わった』




土方達はコトの終末が見えた。


奏のせめてもの良心は、零度を下回らないようにしているところだろう。



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