誠-巡る時、幕末の鐘-



◇ ◇ ◇ ◇     



 道行く人は数いれど、探し人はいっこうに見つからない。


 人口の多い都市だ。


 人一人探すのは至難の技になるだろう。



「ふぅ。ここらにはいない、か」


「……そう、ですね」



 響の顔には落胆と疲労の色が色濃く浮かんでいる。



(だいぶまいってるな。……ここらで休める場所は……おっ!)


「そこの甘味処で一休みしよう」


「はい」


「団子四本と茶を二つくれ」


「へぇ」



 星鈴はいつもより(・・・・・)大分控えめに(・・・・・・)注文をだした。


 店の主らしき男が店の奥に引っ込むと、やっと一息つくことができた。


 いい所に甘味処があって助かった。



「少し歩き疲れましたね」


「あぁ。休憩に丁度よかったな。……ちょっとここで待ってろ。すぐ戻る」



 星鈴は馴染みのある気配を察して、そちらへ走っていった。


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