誠-巡る時、幕末の鐘-
「大丈夫だ。さて次は…う〜ん。ねぇ、そこの名無しのごんべえその一」
奏のどっから持ち出したか知らない断言に、みんな頭をかきむしりたくなった。
「私はそのような名ではない!!」
「この人返事しちゃいましたね、土方さん。自分のことだって認識してるみたいですよ?」
「お前は黙っとけ!!」
後ろでは沖田が土方に怒鳴られていた。
しかし、沖田はいつものごとく…どこ吹く風状態だ。
「この冊子にはね、自分の大切な者を傷つけられた場合の時に対して二通りのやり方があるんだが」
爺から冊子を受け取り、チロリと男の方を見た。
「私は優しく慈悲深い。よって優しい方にしようと思う。まぁ最終決定はお前に任す。さぁ選べ」
(嘘をつくな、嘘を!!)
敵味方関係なく、この瞬間みんなの考えが一致した。
「何の「言っておくが」
またも男の言葉を遮って、言葉を続けた。
「拒否権など端からお前達なぞにありはしない」
何とも…上から目線な発言だ。
こうも鮮やかに言い切られると、土方達は逆に小気味いい気持ちになった。