誠-巡る時、幕末の鐘-
その気配の主は、町人の格好をした鷹だった。
「ここで何してる?」
「いやぁ、あの後どうなったか気になってな。一緒に行動してるみたいだな」
「あぁ。名は音無、音無響」
「ふ〜ん。お前がねぇ〜。へぇ〜」
鷹がわざとらしく語尾をのばす。
確かに、星鈴はいつもなら数少ない例外を除き、他者を傍にいさせることを良しとしない。
人間ならなおさら。
自分でも妙な感じなのに、周りから見るともっと不可解なのだろう。
(だけど、鷹に言われるとなんかムカつく。
……いっぺん絞めとくか)
鷹の首に向かって、星鈴の手が伸びる。
しかし、その手が実際にその首を掴むことはなかった。
「やめて下さい!」
突然、店の方から響の叫び声が聞こえてきたのだ。