誠-巡る時、幕末の鐘-
「どちらにも署名、玉璽(ギョクジ)が押してある。…ほら」
奏は文を山南に渡した。
「これは…本物です」
「なに!!?…本当だ」
山南の言葉に、みんなが山南の周りに寄ってきて、文を眺めた。
「すっげ〜!!初めて見た!!」
「俺も俺も!!」
「っていうか大体普通、みんな見たことないでしょ?」
「確かに」
沖田の呆れたような言葉に、斎藤が頷いた。
「……」
「おやおやおや?さっきから一言も喋らなくなった奴がいるなぁ。どうしたのかなぁ」
縁側から腰をあげ、軽い足取りで男の横にしゃがみこんだ。
「つい先程まで色々と無駄口を叩いていたようだが。…何と言っていたか」
「……」
男は地面に座り込んだまま動かない。
その顔には、汗が大量に出ていた。