誠-巡る時、幕末の鐘-
「待ちなさい。最後まで話を聞きなさい。みんなでお留守番をするんですよ」
言葉の丁寧さが戻っている。
戻っているが、今のこの状態で戻るというのはよくないだろう。
ツウッと嫌な汗が背中を流れた。
「烝。行ってきて下さい」
「あ、あぁ。分かった」
響に、行くぞ、と声をかけ、響は後について屯所を出て行った。
後ろから何やら殺気が飛んできているのに気付かない山崎ではなかった。
「じゃあ、響よろしく!!」
「はい!!行ってきます!!」
屯所の外まで見送って、奏は響に手を振ると、響もそれに返した。
響達の姿が見えなくなると、奏は屯所の中に戻り、男達の方ではなく、永倉達の背後に立った。