誠-巡る時、幕末の鐘-



「沖田さんは気配を読むことも優れていますが消すこともですね。烝並でしたよ、今の」




この機に乗じて気配を殺し、中谷に近づいていた。


恐るべき気配の断ちようだ。




「だってこの人近藤さんの悪口言ったんだよ?」




沖田が面白くないと言うように、顔をしかめながらそう言った。




「まぁ、待ちなさい。…あれ?もしかしてみなさん今ので終わりだと思ってます?たかがニ通の文読んだだけで?」




奏は気だるげに髪をかきあげた。




「ハッ。拷問の専門家舐めないでください。始まってもいませんよ。今までのは下準備です」




男二人の手足を斬り落とし、帝や将軍の文を見せて背後に誰がいるのかをちらつかせる。


これで終わりだと誰もが思う。


逆に思わない方が少数派だろう。


だが残念ながら…奏は思わない派だったらしい。




「さぁ、そろそろ始めましょうか。響が戻る前に」


「ひっ!!」




奏は意地の悪い笑みを浮かべ、男の頬を撫で上げた。



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