誠-巡る時、幕末の鐘-



「そうですね。はい、ここで問題です。新八さん、左之さん、平助。“命が惜しければ?”」


『俺の前で主達、主の友人方、友の悪口は言うな』




三人の声がまるで示し合わせたかのように揃った。


示し合わせるまでもなく、何度も奏自身から自分達も言われているからだが。




「バッチリです。私のこの世で最も嫌いな人間が彼らの悪口を言ったり害を加えたりする奴らですからね」




人間全体を毛嫌いしてはいないかと、たまに土方達は思う。


自分達も最初は無視されるわ、暴言は吐かれるわ。


慣れたらそうでもなくなったが。


そう考えると……奏がここにいる原因になった近藤さんはすげぇな、としみじみと思っていた。



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