誠-巡る時、幕末の鐘-



「沖田さ〜ん。殺さない程度にしてくださいよ〜」


「分かってるよ」




奏の最低限の忠告らしきものに、余裕の顔で答えた。



「総司の奴、上手く攻撃してるな」


「えぇ。さすがってところですかね」




男が猛烈な勢いというかがむしゃらというか、とにかく激しい攻撃を沖田に浴びせている。


しかし、沖田はそれを軽々と避け、たまに急所を外して攻撃している。




「全然当たらないんだけど?」




まさに子供と大人のようだ。


もちろん、年のことではない。




「それにしても沖田さんの前で近藤さんの悪口言ったり、無礼を働くなんて…命知らずな」




それだけは感心できる所だと思う。


なにせ、沖田は……




「子供だって容赦しないのに」


「全くだ」




以前、沖田と一緒に子供達と遊んだ時に、大人げないものを見せられた。


いつもは子供達には優しい沖田がその時ばかりは様子が変わった。


と言っても、普段見せている目が笑っていない顔を見せたに過ぎないが。


子供達にとっては、初めてみる沖田のその一面にさぞや怖かっただろう。



< 303 / 972 >

この作品をシェア

pagetop