誠-巡る時、幕末の鐘-
「素直なのはいいことですね。…はい、これどうぞ」
「か、かたじけない。…ごふぉっ!!」
沖田が木刀を下ろしたのを見て、男にもお茶を差し出した。
途端に男は腹を押さえ、苦しみだした。
「ど、どうした!?」
「は、腹が……」
奏が先程の包みの中身をこっそり入れていたのだ。
「あ〜らら。烝、強すぎたみたい」
「おかしいですね。きちんと量ったつもりだったんですが」
奏の言葉に、山崎は淡々と言葉を返しながらも、顎に手をあて、軽く首を傾げていた。
「そ?まぁ多少強すぎたってだけで私が想像していた通りの状態になったから」
奏はさっと男に近づき、しゃがみこんだ。
「ねぇ、ここ痛い?ねぇ、痛い?」
「ぐはぁっ!!や、やめてくれぇっ!!」
そのまま、苦しむ男の腹を指でチョンチョンとさしていた。
子供っぽいやり方だが、奏がやると鬼畜にしか見えない。
実際、男の顔が真っ青を通り越している。
もう真っ白だ。