誠-巡る時、幕末の鐘-



「持ってきた」


「ご苦労様です。さぁどうぞ。一気に飲んで下さい。そう一気に」




奏は水を斎藤から受け取り、中谷に渡した。




「…ごふぉっ!!!こ、これは一体!!?」




水を口に含み、薬を口に入れた瞬間、盛大に吹き出した。




「おかしなことを。薬ですよ、薬」


「これがか!?」




中谷は石田散薬の包みを指差して、信じられないというような顔をした。




「失礼ですね。れっきとした薬ですよね?土方さん」


「当たり前だ」


「ほらね」




そう…石田散薬とは、土方の実家が作っている薬。


しかし、その薬は酒以外では飲めないほど…まずい。


だからその薬に対するみんなの信憑性はほぼ皆無だ。


唯一斎藤だけは万病に効く薬と、間違った認識を抱いていて、大量に土方からもらっている。



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