誠-巡る時、幕末の鐘-
あぁーもう!!
怖いなぁ!!
なんで来るのがこの人なのかなぁ!!
……レオン様よりかはマシだけど。
奏もこの青年には頭が上がらないようだ。
…膝を折ることは決してないが。
「……次は覚悟しておけ。本当に切り落とす」
もうこうなれば、と開き直り普通に声に出して言った。
困った時は開き直るという奏の得意な戦法だ。
だが、いい結果を生んだことは残念なことにあまりない。
「あと十数えるまでに書け」
青年が出した紙を中谷達の前に出した。
必要な筆などを爺から受け取り、それらも置いた。
縁側を机代わりにして三人並ばせ、奏は扇子で暇を潰し始めた。
『できた!!』
「字、下手だな。爺保管しておいて。これはこいつらの命運がかかっている」
片眉を軽く上げ、爺に三枚の紙を渡した。
命運とはそのままの通り、中谷達の命運だ。
何故なら……。