誠-巡る時、幕末の鐘-
「残念だ」
全く残念とは思ってはいない顔で、星鈴は男達に刀を向けた。
あくまでも鞘に納めたままではあるが。
「グハッ! ひぃぃっ! ……ゲホッ」
「なんなんだ、こいつ!」
「うわぁっ! よせ、来るな! ……グヘッ!」
目にも止まらぬ早業で、鞘に納めたまま刀をふるっていく。
まるで舞っているかのように太刀捌きが軽やかだ。
二人の男を瞬時に倒し、三人目を相手にしようとした時……。
「星鈴! もうやめてください!」
響が星鈴の腕にしがみつき、必死にとめた。
野次馬も集まって来ている。
「……良かったな。命拾いして」
(いつもならこの程度では許さないんだが。
響に免じて許してやろう。
彼女に感謝するがいい)
「よ、良かった」
響は深い安堵の溜め息をついた。