誠-巡る時、幕末の鐘-



「あぁ、言い忘れてたがこれを燃やせばその身は火に焼かれ焼死。濡らせば水に溺れ水死。破れば斬られて死んで、ねじれば病にかかり病死」




さらりと連絡事項を伝えるかのごとく、とんでもないことを言ってのけた。




「あとこれ所有者の物じゃなくなった途端、その時々で自然とどれかになるから盗んでどうこうしようっていうことができる紙じゃない」




もうそれはすでに紙ではない。


書かれている人物に対する呪符だ。




「覚えておけ。名を粗末に扱うとこういう事になる」


『こ、恐っ!!』




そうなのかと、改めて自らの名前の大切さを思い知らされた。


……というより、奏と関わった時以外は大丈夫な気がするが。


今それを言って、なおさら奏の機嫌を損ねてとばっちりを食うようなヘマをする奴はいない。



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