誠-巡る時、幕末の鐘-
「三人共お忘れですか?帰ってきたら楽しみだと言ったでしょう?」
別の酒を引っ張ってきて、クイッと飲み干した。
「少々やる事がたまって先延ばししていましたが。…石田散薬いりますか?顔真っ青ですよ?」
余っていた石田散薬を袖から出して、三人の前に置いた。
『…い、いらねぇ』
それだけは絶対にいらないと拒む三人。
しかし、顔は依然真っ青のままである。
だが、目線はしっかり石田散薬から外されている。
「遠慮するなって。我慢するなって。体に毒だよ?」
奏がそう言った瞬間、三人の顔がさらに青ざめた。
「おまっ!!体に毒って!!」
「ど、毒なのか?」
「い、いる!!石田散薬いるっ!!」
先程まではあんなに言っていた石田散薬を、競うようにして飲みだした。
奏はそれを見ながらニコニコしていた。
今日は爺と響がもう帰ってしまったために、誰も止められる者がいなかった。
それどころか沖田などは腹を抱えて笑い転げている。