誠-巡る時、幕末の鐘-



(……何者だ? この男)



 青年の顔は端正な部類に入るだろう。


 だが、いかんせん、元老院の面々は人外の美しさぞろい。


 必然的に綺麗な顔を見慣れている星鈴は、青年の正体の方が気になった。



「これは何の騒ぎ? 君達は先にそこでのびてる奴らを屯所に連れ帰ってて」


「「はっ!」」



 青年の指示に、一緒にいた何人かの男達が即座に動いた。



(この男……やはりただ者じゃないな。

 男の傷跡を見ても、太刀筋に乱れがない。

 それに何より……こいつ。

 笑みを浮かべちゃいるが、目が笑ってない)



 星鈴は青年の一挙手一投足まで警戒した。


 怪しきは疑ってかかれ。


 大事なことだ。


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