誠-巡る時、幕末の鐘-



「やっぱり沖田さんや一君もいりますか?」




……沖田や斎藤にも勧める辺り、やはり鬼である。




「僕は遠慮しとくよ。いくらからくりが分かっててもね」


「俺もだ」


「なんだ。土方さん、石田散薬ありがとうございました」




奏は土方の所に行き、ニコニコと礼を言った。


対する土方の顔はしかめっ面だ。


そりゃあ当然だ。


石田散薬は全く良い使われ方をしていない。




「なんか複雑なんだが…」




目の前で三馬鹿にいらないと言われたのだから仕方がない。




「あ、安心してください。石田散薬の効果は…でてますから」


「そ、そうか?」




奏の言葉に、土方は表情を緩めた。


酒をつごうとした土方に、代わりに酒をついでやった。




たまには、ね…



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