誠-巡る時、幕末の鐘-



土方は少し驚きながらも、礼を言い、奏がついだ酒を飲み干した。


その時に、例の薬が入っていないか不安になったのは秘密だ。




「今日は力を使い過ぎたので寝ます。お休みなさい」




奏は立ち上がると、そう言った。




「あぁ。お休み」


「お休みなさい」


「あぁ」


「お休み」




みんなが口々に就寝の挨拶を言うと、奏はニコッと笑い、広間を出て行った。


若干足下がおぼつかなかったが。


広間の扉を閉めると、奏の額には脂汗が滲(ニジ)んでいた。


なんとか自室に戻り、隅に畳んである布団の上に倒れた。



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