誠-巡る時、幕末の鐘-
その頃、大広間では…
「…おい、おめぇら。奏を絶対に怒らすんじゃねぇぞ。あれで本気じゃないのなら本気の怒りは底無しだ」
奏が広間を出た後、土方が眉間にシワを寄せて言い出した。
「あぁ」
「気をつけねぇとな」
それには全員が同意の姿勢を見せた。
「あれ、どんな味だったの?」
『死ぬかと思った…』
沖田が三人に聞くと、答えがすぐに返ってきた。
本当にまずかったのだろう。
思い出すだけでも顔が歪んでいる。
飲まなくてよかった。
三人以外の心に浮かんだものは、決して過ぎたものではないだろう。
「山崎君。あれは一体」
「あれは一種ずつなら体にいいらしいんですが、種類の合わせを違えると…」
山崎は山南の言葉に答えたが、途中で躊躇(タメラ)いを見せた。
『違えると?』
それでも気になって仕方がないので、追及してみる。
幹部の視線を受け、山崎も観念したのか、重たくなった口を開いた。