誠-巡る時、幕末の鐘-
「毒にもなります。今回は腹痛をおこす作用だったみたいで」
淡々と言っているが、中身はなかなか聞き流せない内容だ。
「お、恐ろしい!!」
「奏を敵に回したら恐ぇな。良かった。仲間で」
『仲間でもこの仕打ちだぞ?』
土方の言葉に、永倉、藤堂、原田と三馬鹿が疑問を呈(テイ)した。
「それは三人が悪いんでしょ?」
沖田が笑いながら、酒を引き寄せた。
自分は飲んでいないので所詮他人事だ。
『山南さん達は!?』
「山南さん達は日頃の行いがいいんだよ」
沖田がさも当然と酒をあおった。
『悪かったな!!日頃の行いが悪くて!!』
三人は酒を引ったくるようにして、どんどん空にしていった。
今日も三馬鹿の息はピッタリだ。
これから吹き荒れる嵐に、まだ誰も気付いてはいない。
奏でさえも……。
時は、幕末。
春も終わり、梅雨に入ろうかという時期の一日の出来事であった。