誠-巡る時、幕末の鐘-
―――数年後
「たまき!!これあげる!!」
一人の少女が、同じ顔の少年に一輪の花をあげていた。
「ありがとう!!かなで!!」
少年…珠樹は大事そうにその花を抱えた。
二人は屋敷から少し離れた場所に来ていた。
いつもは兄である彼方がついていくのだが、あいにく見つからなかったのだ。
双子は、ならば自分達だけで行こうと屋敷を出てきた訳だ。
そして見つけたのが今いる花畑である。
「きれいなところだね!!」
「うん!!ちょっととおいけどね」
大人の足ではさほどかからない距離でも、まだ幼い双子にはまるで探検をしているみたいに思えたのだ。