誠-巡る時、幕末の鐘-
「あ、あのっ! 危ない所を助けて頂き、ありがとうございました」
刀についた血を払う青年に、響が神妙な顔つきで頭を下げた。
(おいおい、響。
怪しい奴には話しかけちゃ駄目だって教わらなかったのか?
礼なら私からするから、お前には関わってほしくなかったのに)
「それ、僕に言うよりも先に、君の隣にいる人に言うべきなんじゃない?」
刀を鞘に納めつつ、青年は視線を星鈴に向けてきた。
「もちろん、星鈴も、本当にありがとうございました!」
響は勢い良く、今度は二人に向かって腰から曲げてきた。
「いや、当然のことをしたまでだから。……ところで、お前、見てたな?」
でないと、あんなに丁度よく入ってこれない。
仮に青年が間に合わなかったとしても、あの男の刀が星鈴に届くことはなかっただろうが。
「派手だったからね。あぁ、君達も一緒に来てもらうよ。言っとくけど、拒否権はないから」
(……やっぱり、な)
思った通りの展開だ。