誠-巡る時、幕末の鐘-



―――雷焔家




「珠樹様!!奏様!!」




血相を変えてこちらに走ってくる男女がいた。


彼らは代々雷焔家に仕えている者達だ。




『じい、きよう。ただいまもどりました!!!』




二人は双子の元気な帰宅の挨拶に安堵した。




「珠樹様、奏様。私はいつもお外に行かれる時は、彼方様か私達とご一緒にと申しているでしょう?」




爺と呼ばれた男は、双子と目線を合わせ、そう諭(サト)した。


本当は兄妹の母親の弟なので、もっと若いのだが、本人の都合により、爺と呼ばれる外見に術式でしている。


少々、いや結構、かなり口うるさい。



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