誠-巡る時、幕末の鐘-



二人で絵を書いていると、再び部屋の戸が開き、彼方と二人の青年が入ってきた。


歳は彼方と同じくらいだろう。




「かなたにいさま、そのひとたち、だれ?」


「新しく風戸の当主になった紫翠と側近の鈴だよ」




彼方が答えると、珠樹はギュッと奏を抱きしめた。




「こいつらがお前が言ってた双子か。…珠樹と奏だったか?」


「あぁ」


「こんなにくっついてて仲いいのに、可哀想なことしちゃったな」


「仕方ないだろ。うちのジジイ共が騒ぎ立てるんだから」




奏は意味が分からないので首を傾げているが、珠樹にはその会話が酷く憎く聞こえた。



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