誠-巡る時、幕末の鐘-



奏は昨日来ていた花畑に一人で来ていた。


珠樹を屋敷中探したがいなかったからだ。




ここならいるかな?




奏にとって、この花畑が最後の頼みの綱だった。


だが、珠樹の姿はなかった。




「たまき…わたしとずっといっしょにいてくれるっていったのに…」




フラッ




奏はその場に倒れてしまった。






「奏!!?奏!!?やっぱりここだった!!!」


「…にいさま?たまきがどこにもいないの…」




それだけを言い、奏は目を再び閉じた。




「奏!!?…いけない!!熱が!!」




奏を抱きかかえ、彼方は屋敷へと駆け戻った。



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