誠-巡る時、幕末の鐘-



―――雷焔家




「みんな〜。ただ今戻りました〜」




両親の部屋に入ると、母親に駆けて行きながら挨拶をした。




「お帰り。奏、彼方」


「ただ今戻りました」


「母様、桜の花あげる!!はい!!みんなの分もあるよ!!」




彼方以外の四人は息を飲んだ。


この花を二年前、同じように珠樹と一緒に嬉しそうに渡されたからだ。


奏はそうと知らずに父親の膝に乗ってニコニコとしている。




「……ありがとう。奏」




龍雅に頭を撫でられ、奏はくすぐったそうに笑った。



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