誠-巡る時、幕末の鐘-



全く帰ってこない兄に、奏は心配になり屋敷に入ってしまった。




そこには、倒れた両親と……刀の血を拭き取っている彼方の姿があった。


両親は龍雅が蓮樹を庇うように倒れており、床には血溜まりができていた。




「奏。来たら駄目だって言ったのに」


「兄様…父様達…どうしたの?」


「あぁ…手遅れだったよ」




奏は兄の言っている言葉が分からなかった…分かりたくなかった。




「父上達は………死んだよ」


「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」




奏は信じたくない言葉に耳を塞いだ。


そして、両親の所へ駆け寄ろうとした。


しかし、柱が落ちてきて奏達と両親がいる所を隔ててしまった。



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