誠-巡る時、幕末の鐘-
「……まだだよ」
カチャリ、シュッ
カチンッ
「……これはどういうつもりだ?」
「……総司の剣を……受けただと? ……おい、おめぇ。名は?」
男は余程星鈴が青年の剣を受けとめたのが不思議なようである。
眉にしわを寄せ、訝しげにしている。
「初めて会った怪しい奴に、みすみす名を明かす馬鹿がどこにいる? ……あぁ、響、お前は別だ。俺は怪しくないからな」
響がパッとこちらを見たのに気づき、奏は言葉を付け足した。
響は考えていることがすぐ行動に出るから分かりやすくていい。
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(名というのは悪用することもできるからな。
……相手を呪うことでさえ。呪われるのは御免被る)
二人は黙りこんでしまった。