誠-巡る時、幕末の鐘-



―――昼過ぎ




奏が再び目を覚ました時、もう太陽は空の真上にあった。


障子を開け、外の景色を眺める。




「大分寝ていたな。体の調子もいいかな?」




まだ本調子とは言えないが、鬼であるから心配ないだろう。


奏が障子に軽く背をもたれかけていると、横から声をかけられた。




「奏君!!もう起きて大丈夫なのか!?」




近藤だった。


目を見開き、慌てて奏の方に走ってきた。




「もう大丈夫ですよ。みんなが心配し過ぎるだけです」




奏は近藤を安心させるためにニコっと笑った。




「だが、総司からまだ熱があると聞いたぞ?」


「大丈夫ですって。力を使い過ぎただけですから。お腹が空いて倒れるのと似たようなものですよ」




奏はそう言うが、本当に近藤達は心配だったのだ。


先日宴会をした後、奏が部屋に戻って、次の朝なかなか起きてこない。


藤堂が代表して起こしに行ったら、奏が布団も敷かずに布団の上に倒れこんでいるというではないか。


しかも、もの凄い汗をかいていた。


にも関わらず、爺にも響にも言うなときた。



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