誠-巡る時、幕末の鐘-



「見て分かるだろ?粥だ」


「分かるんだけど…」




粥を少し混ぜながら沖田が呟いた。




「何だ?失敗したのは魚だけだぜ?」


「じゃあ最初から粥を作るつもりだったのか?」


「あぁ!!奏のためにな!!」




永倉は胸を張り、歯を見せて笑った。


原田と藤堂も頷いている。




「……いただきます」




自分のために作ったと言われれば、これはもう食べるしかない。


試しに一口食べてみた。




「どうだ?」


「……うん」




奏の反応を三人は瞳を輝かせながら待った。


…待った。


……まだ待ってる。




「奏?どうなんだよ」




とうとう土方が奏の肘をこづいた。




「………美味い」




奏がそう言ってもう一口食べたのを見て、土方達も食べ始めた。


しかし……




「甘ぇ〜!!新八!!何入れた!!?」


「え!!?……あっま!!やべぇ!!砂糖と塩間違えた!!」


「何古典的な失敗してんだよ!!」


「どうするの?これ」




一瞬で広間が阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。



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