誠-巡る時、幕末の鐘-
「……いいと思うけどな?」
「奏、こっち向いてみろ!!」
土方が奏の額に手をあてた。
みるみるうちに顔が険しくなる。
「お前、熱あるじゃねぇか。味覚がきちんと働いてねぇんだろ」
「熱はない。頭が熱いだけ」
「それを熱があるって言うんだろうが!!」
熱のせいか、いつもの土方をからかう癖か、とんちんかんなことを言いだす奏に土方はキレた。
「いいから、こい!!悪いが斎藤ついてきてくれ」
「はい」
「僕も行きますよ」
「おめぇはここで飯食っとけ」
奏を抱きかかえ、斎藤と一緒に広間を出ていった。
その間中、奏の抵抗が続いていたが。
「これをどうやって食べろっていうのさ。僕も奏ちゃんのこと心配なのに」
「総司、ここはトシに任せよう。上手くやってくれるさ」
近藤が沖田の横に行って酒をつぎ、何とか宥めすかした。
その日の夕食は、響が作り置きしていたものを見つけたので、無しにならずにすんだ。