誠-巡る時、幕末の鐘-
「あいつら…たるんでやがる」
「まぁ、仕方ないですよ。昨日は」
土方は三人の様子を見て、ブツブツ言っている。
しかし沖田は肩を竦め、斎藤も沖田の言葉の方に頷いた。
「それより奏ちゃん、料理できるの?」
「あのですね……私を一体…やっぱりいいです」
「ならば行くぞ。ほら傘をさせ」
斎藤が奏に傘を渡した。
まるで妹のような扱いだ。
「一君、甲斐甲斐しいね。兄妹みたい」
「何を言っている。あんたは行くのか行かないのか?」
「行くよ、もちろん」
沖田も傘を取出し、玄関から出た。
「じゃあ土方さん、行ってきますね」
「あぁ。総司、斎藤、頼んだぞ」
「はいはい」
「分かりました」
三人は雨の中、仲良く?夕飯の買い出しに出かけることになった。
「あいつ……女って自覚はあったんだな」
奏に聞こえないくらい小さな声で、土方はこんなことを呟いていた。