誠-巡る時、幕末の鐘-



 親のしつけが良すぎるのか、はたまた、性格ゆえか……星鈴は少し頭が痛くなった。




(礼儀正しすぎるのも考えものだな)




「初めまして。……いい加減出てきたらどうだ? 隣の部屋に男十人。そろそろきついだろ」




 星鈴は隣の部屋に通じる(ふすま)をちらりと見やった。


 すると星鈴と響以外、みんなが息を飲んだ。


 響はというと、気づいていたわけではなく、驚いて口を開けている。




(出てこないなら無理矢理引っ張りだそうか?)




 すると、隣とつながっている襖を開けて、男十人が入ってきた。




(やっぱり、いやがったか。私を誤魔化そうなんて千年早い。

……あ、歳がバレちゃう。今の無しでお願いします。百年ぐらいで)




 人間は百年も千年も生きられないので大した差はない。


 的がずれている。


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