誠-巡る時、幕末の鐘-



「さて。そろそろお開きにするか。新八、左之、お前ら明日見回りだぞ」




土方が若干呂律(ロレツ)が回らない口で二人に告げた。




「あ〜そうだったな」


「俺、大丈夫かな」



飲み過ぎたことを軽く後悔しているが、明日まではもたないだろう。


きっと明日も明後日も飲み続けるに違いない。




「雷焔君、美味しかったよ」


「あぁ。久しぶりに美味い鯛を食べた」




井上と松原が広間を出ていく間際に奏に礼を言った。


二人共、分別よく酒を楽しんだらしい。


奏はいつの間にか寝てしまった藤堂を揺り起こしながら、笑顔を返した。


二人の後から山南、山崎、島田と退出していった。




「トシ、大丈夫か?」


「大丈夫だ。このくらい」




近藤と一緒に土方も出ていった。


残るは永倉、原田、沖田、斎藤に寝ている藤堂だ。



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