誠-巡る時、幕末の鐘-
「ほら、平助。起きて」
「うーん。もう食べられない…」
「誰も食べろとは言ってない。起きてってば!!」
寝言を言う藤堂に、奏は語調を僅かに強めた。
強めに揺するが、目を覚ます気配がない。
「仕方ねぇな!!ほら、平助!!行くぞ!!」
さすが年の功だ。
原田が藤堂に肩を貸し、永倉と一緒に出ることに成功した。
「さて。後はあなた達ですか。……放っておいても大丈夫そうですね」
残っているのは若干酔ってる沖田に、全く酔ってない斎藤だ。
二人残していても大丈夫だと判断した奏は、料理を片付け始めた。
「僕も手伝うよ」
「俺も」
沖田と斎藤も一緒に片付け始めた。
隊士達の分も勝手場に運んで、食器を洗う。
みんな全部食べてくれたので、残っているのは鯛の大きな骨だけだった。
奏も作った側として嬉しくて、笑顔が零れた。