誠-巡る時、幕末の鐘-
「よし。終わり!!」
全ての片付けは四半刻[約30分]で終わった。
「ふぅ。ありがとうございました」
「奏。風呂に行ってくるといい。今日は平隊士達も酒を飲んで潰れていた」
「本当に?じゃあそうする」
奏は斎藤の言葉に頷き、着替えなどを取るために部屋に戻っていった。
「一君。お風呂勧めるなんて大胆だなぁ」
「何を考えている。俺はただ奏が料理で疲れただろうと」
「そうだね。そういうことにしとくよ」
「そういうことも何も」
斎藤が沖田を軽く睨んだ。
それを沖田はいつもの飄々とした感じで流した。
「まったく。あんたはいつもそんな事を考えているのか」
「いつもじゃないよ。心外だなぁ」
「ならその言動を改めろ」
「……一君って土方さんみたいになりそうだよね」
「副長みたいに?それでいいだろう?」
沖田は深い溜め息をついた。
斎藤は何故溜め息をつかれなければいけないのか分からずに怪訝にしていた。
しばらくして、二人は台所を後にし、部屋へと戻っていった。