誠-巡る時、幕末の鐘-
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
奏が着替えて広間へ行くと、珍しくもうみんな食事を済ませていた。
奏が入ってきたのを見て、みんなそれぞれ朝の挨拶を交わす。
「奏、今日はどうするんだ?」
「今日?久しぶりに雑鬼達の相手をしてあげようかなと思ってる」
「退治るのか?」
「いんや。遊ぶんだよ、一緒に。妖の中にも気のいい奴等も大勢いるんだ」
今日は不思議なことに、昨日あんなに降っていた雨が止んでいる。
晴れ間さえもある。
遊ぶには絶好の日だ。
土方はこれを聞き、永倉と原田に視線を送った。
二人も承知しており、無言で頷いた。
「朝は誰が作ったの?」
「僕と一君だよ」
沖田が後ろ手で体を支えながら、奏の質問に答えた。
「そっか。なら大丈夫だね。私、行ってくる」
奏は合点したように頷くと、広間を出て、玄関に向かった。
「奏!!俺達も巡察があるから一緒に途中まで行こうぜ」
永倉と原田が、隊士を数人ずつ連れて走ってきた。