誠-巡る時、幕末の鐘-



―――屯所




「一体どういうことだ?」


「話がおかしいですね。雷焔君は、きちんと我々に預けられたはず」


「元老院とは別の所ってか?」




土方が髪をかきむしった。




「鬼の方とか?」


「里もなくなり、ばらばらに生活していると…そいつらか?」


「響の父親が今はまとめてるって言ってたな。だからそれは無い。あいつは正面から堂々と俺達に返してもらうと言ってきた」


「……確か、兄貴がいるって言ってなかったか!?」




永倉がハッと思い出した。




「……兄、か…。ならば話は簡単につく。だが……」


「奏ちゃん、全然気付いてなかったよね。似てるって言っても否定してたぐらいだから」




沖田が怪訝そうに言った。


斎藤も同じく怪訝な顔になった。




「くそっ!!とにかく奏を見つけだすぞ!!」




土方の号令を合図にみんな一斉に京の町中に散った。



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