誠-巡る時、幕末の鐘-



「鷹は今、ミエ様の所へ行っている。爺もいない。お前達、いい判断をしたな」


「やっぱりな!!」


「俺達ぐらい長生きすると、それくらい寝てたってできるようになるのさ!!」




雑鬼達が胸を張って言った。


この雑鬼達は、京に都ができる前からいる。


京のことならば何でも知っているわよ、とミエにも重宝されているのだ。 




「それより、もう大丈夫なのか?」


「あぁ。お前達も私が結界を張り直す前に入ってきただろうが」


「だってよ、そうしなきゃ中に戻れなくなるだろ?」


「俺達か弱いから、外にいたら他の強い奴等に食われちまうよ」




今、京には奏が結界を張っている。


外部からの妖の侵入を防ぐためと、中から外に出るのを防ぐためだ。


この雑鬼達は力も弱く、背も小さく、奏の膝くらいしかない。


中にいた方が安全だという訳だ。


か弱いという部分には、半眼にならざるをえないが。



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