誠-巡る時、幕末の鐘-



―――半刻後




「ハァハァハァ……ここにもいねぇか」


「どうするんです?ここ以外は全て探しつくしましたよ」




息を荒げて辺りを見回す男達の集団が雑木林に現れた。


土方達だ。


分かれて探していたが、奏は見つからず、残すはここだけとなったのでみんな集まったようだ。




「くそっ!!どこに行ったんだ、あいつは!!」


「すまねぇ!!珠樹って奴に目をとられてたばっかりに!!」


「あぁ。完全に俺達の失態だ」




永倉と原田は苦虫を潰したような顔をしている。


かれこれ一刻以上は探している。


それでも見つからないのだ。




「あいつの主も肝心な時に現れねぇ」


「奏の主の悪口言ったら奏の奴、聞き付けて出てこねぇかな?」


『それだ!!』




みんなが藤堂を一斉に見た。


いきなり視線を向けられたので、藤堂はパチパチと瞬きをした。



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