誠-巡る時、幕末の鐘-
「くそっ!!」
土方は近くの木の幹に拳を叩きつけた。
ニャーァ
雑木林の奥の方から一匹の猫が駆けてきた。
土方達はその猫に見覚えがあった。
「あれは桜花ではないか?」
「本当だ。首に銀の紐の鈴してるから間違いないぜ?」
藤堂が足元にじゃれついてきた桜花を抱き上げて確認した。
桜花は軽く身を翻して、腕から離れ、綺麗に着地した。
ニャー
そのまま少し奥に歩いていった。
軽く地面を掘り、何かをくわえて戻ってくる。
ニャン
今度は井上の足元に行き、くわえていた物を落とした。
「これは!!私が雷焔君に渡した金平糖の包み!!」
「何!!?それは本当か、源さん!!」
「あぁ。間違いない」
井上は強く首を縦に振り、断言した。
「でかした!!桜花!!」
永倉に頭を撫で繰り回されている桜花は気持ちよさそうにしている。