誠-巡る時、幕末の鐘-
「後は……一君の番だよ」
沖田が隅の方で正座している男に声をかけた。
「……俺は斎藤一だ」
なんというか…無愛想だ。
(でもこいつ…強いな。隙がない。
なかなか強そうな奴が揃ってるな、ここは。
どこかの戦闘狂が知ったら喜びそうだ。
……絶対教えてやるもんか)
「私は音無響と申します。それから…」
「……」
響が顔を向けたことには気づいているが、星鈴はそのまま黙った。
(こいつら、どこまで信用できる?
下手に名を明かすことは、命とりになる可能性がある)
実際の経験談だ。
長い時を生きていると、色々とある。
そう、色々と。
「星鈴?」
考え事をしていた星鈴は響が自分の名を呼んだことに気付かなかった。