誠-巡る時、幕末の鐘-
「……いつから…いつから私達を騙していたの?」
必死に涙が流れるのを堪えた。
唇を噛みしめ、血が流れるくらいに。
顎を血がつたい、着ていた衣にポタポタと斑点を作った。
「奏。血が…」
そう言って彼方が衣の袖で拭おうとした。
だが、奏は数歩後ろに下がり、触れさせなかった。
「触らないで!!答えて!!」
奏の高い声が離れに響いた。
何事かと騒ぎ立てる者達がいるが、もう奏にとってはどうでもよかった。
それよりも、目の前の兄と信じて疑わなかった存在の発する言葉の方が大事だった。
「……最初からだよ。奏達が生まれてくる前から」
「何故!!?」
「珠樹と同じだよ」
視線を奏から外し、珠樹の方へ向けた。
珠樹と同じということはつまり……