誠-巡る時、幕末の鐘-
壊れかけた心
「な……」
みんなは言葉を失った。
辺りにたくさん人が倒れている。
ここは風戸の里なのでこの者達も鬼だろう。
体には鋭いもので斬られたらしき裂傷がある。
建物は多くが壊されている。
まさに地獄絵図だ。
「何があった!!」
比較的無事の者を見つけ、紫翠が厳しく問いただした。
「ら、雷焔の姫が……」
ドッシャーン!!!
辺りに耳をつんざくような音が響いた。
「どうなってんだ!?」
「雷焔の姫って奏のことだろ!?」
「奏に何かあったのかよ!?」
永倉達もその男に詰め寄った。
「待て。それよりも予定変更だ」
「お前達は奏を止めに行け」
「止めに?どういうことだ?」
「これは奏がやったらしい。さっきのは奏が落とした雷だ」
「貴様の言う仲間というものが本当かどうか見定めてやろう」
二人はそう言うと、怪我人の治療をし始めた。
「雷が鳴った方へ行けば奏はいる」
鈴が手早く傷を治してやりながら、ある一つの屋敷を指差した。
土方達は急いでそこへ向かった。