誠-巡る時、幕末の鐘-



少年は身形こそ子供のそれだが、正真正銘元老院の医療関係を司る第六課の長である。




「君も第六課の者として働きなさい」




常ならば穏やかな物言いをする彼も、今ばかりは見た目にそぐわない硬い声音だ。




「………はい」




黙って立ち上がり、沖田達の方へ足を運んだ。


彼方は傷が酷いために、フェルナンドが治すらしい。


もうすでに処置を施している。


生きてはいるようだ。


それを見て奏は安堵の息をもらした。




「奏ちゃん……」




ビクウッ!!!




奏の体が大きく跳ねた。


一度目を瞑り、意を決して沖田達に正面から相対した。


土方や斎藤は大丈夫のようだが、沖田と藤堂は傷から血が流れている。




「………ごめ、なさい」




溢れてくる涙を袖でゴシゴシと拭き取り、二人の傷に手を当てた。


すると、淡い光が発せられ、みるみるうちに傷が塞がっていく。


沖田と藤堂も苦悶に歪んでいた表情が和らいでいった。



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