誠-巡る時、幕末の鐘-
「僕も行く」
珠樹の瞳は、強い意思と、拒否は許さないと言わんばかりに輝いていた。
奏は土方の方をチラリと見た。
「好きにしろ」
「そうさせてもらうよ」
珠樹は逆に奏の手を引っ張って部屋を出た。
土方達も後から続いた。
「鈴。僕、奏と行くから。もうここにいる必要はないでしょ?」
「あぁ。………すっかり治ってるからな」
鈴は一瞬鋭い目になった後、すぐに元の表情に戻った。
「元老院の奴らが、明日裁定を下すらしい。そっちに行くからな」
「何で屯所なんだ?」
「うちには平隊士達もいるから、あんまりそういう事して欲しくないんだけど」
ようやく顔に赤みが戻ってきた沖田が土方の疑問の声に被せた。
「お前達も関係あんだよ。……そうだな、確かに隊士達は面倒だな。場所は変えてもらうようにするか」
鈴は腕を抱えて考えこみ始めた。