誠-巡る時、幕末の鐘-



「ミエに伝えろ。借りは返したと」




祭神自らの言葉にみんなは重々しく頷いた。




「それとあれが起きたら言っておけ。狂気に蝕まれた者を放っておくなとな」


「分かりました。しかと伝えておきます」




近藤が代表して言葉を返した。


相手が神であるので、声音が硬い。


祭神は視線を篁の方に向けた。




「篁よ、なかなかに美味い酒だった。また持ち寄れ」


「はい」




貴船の祭神は神々しい神気を残し、天に戻っていった。




「俺も冥府へ戻る。後はお前達の努力次第だな」


「ありがとうございました」




冥府の官吏も闇の中へと姿を消した。




「急いで屯所に戻るぞ!!」


『あぁ!!』




みんなは来た時と変わらない速さで参道を駆け下り、屯所に急いだ。



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