誠-巡る時、幕末の鐘-
「みんなに一体どれだけ心配させたと思っているんですか!!」
「………」
奏は俯き、拳を握った。
「責任感が強いのは結構です。しかし、強すぎるとただの自殺願望ですよ」
「山南さん…」
「近藤さんは黙っていて下さい」
宥めようとした近藤にも、容赦ない言葉が飛ぶ。
「責任を取りたければきちんと裁かれた後にとりなさい。
人間とか鬼とかは関係ありません。
それが道理というものです。
それとも、あなたはここにいることが嫌になったんですか?
ならばそう言えばいい。
自分で救われた命を断つなど、それこそあなたの言う主への冒涜(ボウトク)でしょう?」
奏は何も言えなかった。
誰も一言も発しなかった。