誠-巡る時、幕末の鐘-



「私達はあなたを捜し回りました。


何故だと思いますか?


あなたが私達の大切な仲間だからです。


あなたが何を考えているかは分かりません。


ですが、みんなのあなたを心配する気持ちをそんな風に返すのは許せません。


こんなたった一文で永遠の別れを告げられる私達の気持ちが、あなたには分かるんですか?


あなたの気持ちを知って欲しければ、きちんと口に出して言いなさい」




山南は言いたいこと全てを言い終えると、そのまま黙って奏を見つめた。




「私は……みんなと会えて楽しかった。


人間は好きじゃないけど、みんなの側は居心地が良かった。


だから……みんなを傷つけた奴らや、罵倒する奴らを許せなかった」




奏の握りしめた拳の上に涙がポタポタと落ちる。




「でも……私が傷つけた!!」




奏は悲痛な叫びをあげた。



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